第2章 フェノール樹脂

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第2節 液相分解技術によるリサイクル

 資源環境技術総合研究所 (現 産業技術総合研究所) の佐藤ら1) は, フェノール樹脂(PF) のモノマーリサイクルを目的として, 液相分解法を利用してノボラック型PF並びにその市販成形品を分解する研究を行った。200mLのオートクレーブを使用し, 溶媒としてテトラリン並びにデカリン, 触媒として酸化鉄-硫黄系を用いて, 420℃ - 450℃, 1 - 5 MPaで処理して, フェノール, クレゾール, ジメチルフェノールなどを得た。

表1
Liquid-phase Cracking of Phenol Resin Under Various Conditions
(React. temp.: 440℃, React. Time: 60min) 1)

 資源環境技術総合研究所の小寺ら2) は, PFの分解再生を目的として, 連続反応装置による分解再生実験のための反応条件の最適化を検討した。20mLの圧力容器を使用して, 溶媒としてイソプロパノール/テトラリン= 1/4 (vol)を用いて, 310℃ - 390℃, 10min - 100min, 5 MPaで, PFを分解し, 生成物のHPLC-GPCから速度論モデルを考案, 反応温度による反応速度の変化を速度論パラメーターとして解析した。

 さらに小寺ら3) は, PFノボラック硬化物の分解特性を把握することを目的として, 各種PFノボラックをヘキサメチレンテトラミンで硬化させた硬化物を, 液相分解法で分解する検討を行った。ハステロイ製の200mLオートクレーブを使用して, 溶媒としてテトラリン50mL, 330℃ - 470℃, 150minまたは24hで各種PF硬化物を処理した。その結果, 430℃/24hまたは470℃/150℃で, 単核フェノールの収率が80%になった。

図1
フェノール-各種アルデヒドノボラックの単核フェノール類回収率
(430℃、30分、無触媒条件) 3)

図2
各種ビスフェノール類ノボラックの単核フェノール類回収率
(430℃、30分、無触媒条件) 3)

図3
各種ビスフェノール類ノボラック硬化物(ヘキサミン15重量部)
の単核フェノール類回収率(430℃、60分、無触媒) 3)

参考文献